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男プリキュアが登場する理由はなぜ?レギュラー化するまでの経緯

男プリキュアが2023年2月放送開始の『ひろがるスカイ!プリキュア』に登場することになり、注目されています。

男プリキュアは2018年の『HUGっと!プリキュア』に一話限定で登場したことがあり、当時も大きな話題となりましたが、メインプリキュアに男プリキュアが加入するのはプリキュアシリーズ始まって以来初の試みです。

なぜ女児向けアニメであるプリキュアに男プリキュアが登場するのでしょうか。

今まで通り女プリキュアだけではダメなのでしょうか。

男プリキュアを求められる理由はなぜなのでしょう。

男プリキュアが登場する理由を考察していきます。

目次

何故男プリキュアが必要?

プリキュアと言えば、女児アニメの代表として20年間揺るがぬ人気を維持してきた巨大コンテンツ。

その主役であるプリキュアメンバーは、今まで女子ONLYでした。

徹頭徹尾女子向けに配慮されたキャラクター、ストーリー、演出、ビジュアル。

男性要素の入る隙間などないかのように見えるプリキュアに、なぜ男子プリキュアを登場させることになるのでしょう?

https://www.toei-anim.co.jp/tv/precure/

プリキュアは男性人気も高い!

一番の理由は、やはりこれでしょう。

一般的には女児向けコンテンツと認識されているプリキュアですが、長期コンテンツなだけあって全体的なクオリティと安定感の高さ、

女児向けだからこそのキラキラしたビジュアルやストーリーなど、『男性向けにはない魅力』が故に男性ファンも多いのです。

それも、女児向けなだけに子どもから大人まで共感できる内容なため、男性ファンも年齢問わず幅広くいます

男性には許されない空気があった

しかし、残念ながら世間一般には「女向けを男が好むこと」は「気持ち悪い」「男らしくない」などと蔑まれる風潮が強くありました。

女性の男装は『男装の麗人』と好意的に取られることが多いのに、男性の女装は下品なギャグテイストで彩られてしまう傾向は未だにあります。

私の兄も、幼児のころに好きな戦隊ものを聞かれて「ピンク」と答えたら、翌日からいじめられたことがありました。

私の息子も、プリキュアが好きで幼児のころは「プリキュアになりたい」と変身の物まねをし、小学生になっても妹以上に熱心に見ていますが、友人たちには明かしていないようです。

そのようにして、男性は『女性向けが好き』なことを隠さなければいけないようなプレッシャーが、令和になった今も根強くあるのです。

SDGsの流れ

この数年、声高に掲げられるようになったSDGs

この17の目標の5つ目に『ジェンダー平等を実現しよう』とあります。

ジェンダー…性差とも訳されますね。

異性愛だけでなく同性愛も、

性同一性障害も、

異性装も、

『性別』という枠組みにとらわれず、すべての人がそれぞれの性を謳歌できるように、ということですね。

広い意味では、「女性向け」「男性向け」というカテゴリー分けもジェンダーに入ります

SDGs以前からジェンダー的表現のボーダーレス化を望む声は強くなっていましたが、SDGs以降、それが加速しているように感じます。

プリキュアだからこそ、打開できる!

この、今までずっと蔓延ってきた「男が女向けを好むこと」に対する嫌悪感

それは、女児向けコンテンツ代表であるプリキュアだからこそ、率先して打開すべき対象だったのかもしれません。

シリーズを製作する東映アニメーション・エグゼクティブプロデューサーの鷲尾天(たかし)は、1月末の記者会見でこう語った。

 「プリキュアを続けていくには、チャレンジが絶対に必要。いずれ、プリキュアは女性に限らなくていいと考えていたので、20年の節目に誕生させた」

https://www.asahi.com/articles/ASR215J6QR1ZPCVL00S.html

後述しますが、プリキュアシリーズは実際、SDGs以前から「プリキュアは女性に限らなくていい」という考えを様々な形で果敢に打ち出し続けてきました。

早いうちからあったその要求に、ようやく時代が追いつき、追い風となって今回の男子プリキュア登場となったように私には見えています。

「女の子だって暴れたい!」

プリキュア開始当時の企画書に書かれていたことで『プリキュアのキャッチコピー』のように受け取られている「女の子だって暴れたい!」

これを理由に「それなのに男プリキュアなんか出すな」という反論も目にしますが、

「女の子だって暴れたい!」は「女の子しか暴れさせない!」ではありません

女子の肉弾戦描写が珍しく、反感すら買いかねなかった当時、「暴れる=女の子らしくない」という概念をあえて覆す、という意味合いでしょう。

それはつまり「押し付けられるジェンダーに従順でなくてもいい」という意味。

なので「プリキュア=女子」というイメージが付いた今、あえて「男プリキュア」を登場させることは「押し付けられるジェンダーに従順でなくてもいい」というメッセージとして十分成立しているのです。

むしろ、意図的に男性を排除しようとすることの方がこのメッセージに反していると言えるでしょう。

男子のプリキュアに至るまで

しかし、男子プリキュアをメインに据え置くまでに、プリキュアは長い時を経て段階を経てきた歴史があります。

ハートキャッチプリキュア

https://www.toei-anim.co.jp/tv/hc_precure/

2010年度代、5代目プリキュア『ハートキャッチプリキュア』の明堂院いつき

一人称は「ボク」で髪も短く男子の制服を着ていますが、それは明堂院流古武術の跡継ぎとして周りの期待に応えようとふるまっていた姿。

中身はむしろ女の子らしい女の子でした。

後にキュアサンシャインとしてプリキュアの一員となります。

明堂院いつきは、訳合って男装していただけの女の子ですね。

スマイルプリキュア

https://www.toei-anim.co.jp/tv/smile_precure/character/other.html

2012年度代、7代目プリキュア『スマイルプリキュア』17話。

ゲスト出演していたお笑いコンビFUJIWARAの2人がバッドエナジーを跳ねのけたのを妖精のキャンディにプリキュアではないかと言われ、原西孝幸「レディー…プリキュア、スマイルチャージ!」「ナチュラルパワーは野生の力———キュアゴリラ!」と変身———の真似事をし、相方の藤本敏史に「変身できてへんやんけ!」と突っ込まれる、という一幕がありました。

ただのネタとは言え、それっぽいカメラワークで変身シーンも作られた(カメラワークだけで、服装も変わらず、効果音は本人の地声である)このネタは今も愛されています。

こんなゲスト出演が叶ったのも、娘さんの影響で『フレッシュプリキュア!(2009年代、4代目プリキュア)』から見始めた原西さんが「何とかプリキュアに出るのが夢」と語っていたからだそう。

成人男性が女児向けアニメへの好意を堂々と公言するという、素晴らしいモデルとなってくれました。

ドキドキ!プリキュア

https://www.toei-anim.co.jp/tv/dokidoki_precure/character/other.html

2013年代、8代目プリキュア『ドキドキ!プリキュア』25話。

キュアロゼッタである四葉ありすの執事・セバスチャンがありすの助けとなるために開発したアイテム『人工コミューン』で変身します。

キュアセバスチャン」を自称し(自称したのは次回予告だけでしたが)、ビジュアルはなぜかバットマンモチーフでしたが、身体能力も強化。

訳合って参戦には至りませんでしたが、キュアゴリラに続く成人男性プリキュアネタとなりました。

キラキラ☆プリキュアアラモード

https://www.toei-anim.co.jp/tv/precure_alamode/character/chara05.php

2017年度代、12代目プリキュア『キラキラ☆プリキュアアラモード』の剣城あきら

ショートカットボーイッシュな私服ですが、あくまでもボーイッシュな女性ものであり男装とまではいきません

女子制服を着用し、一人称も「わたし」。制作側にも「母性のキャラ」と公言されており、性自認は女性

しかし、高身長にショートヘアで堂々とした立ち居振る舞いはまさに王子キャラ

キュアショコラに変身した姿も、ミニスカートにスパッツに見えるそれは実はチュニックにレザーパンツ(ショート丈)を合わせたものだとのことで、プリキュア史上初のパンツスタイルのプリキュアでした。

キュアショコラ登場当時、変身シーンの格好良さに『セーラーウラヌスの再来』とネット上でもてはやされていました。

セーラーウラヌスは、セーラームーンに登場するセーラー戦士の一人で、両性具有のキャラクターです。

普段は男性として生活しており、セーラージュピターと公認カップル扱いでした。

声を当てたのも元宝塚男役の森なな子さんで、あまりにも王子様然としていて、主人公いちかももちろん男性だと思い込んでいました。

また、キュアマカロンである琴爪ゆかりとカップル的扱いをされています。

あきらはゆかりに対して「大好きだから」と明言していますし、同性愛描写とみて構わないでしょう。

また、後に登場するピカリオという妖精もいました。

https://www.toei-anim.co.jp/tv/precure_alamode/character/chara11.php

今作では「伝説のパティシエとして高みに達するとプリキュアになれる」という設定があり、同じく妖精である双子の姉キラリンもその効果で妖精から人間、人間からプリキュアに変身する術を得ていました。

ピカリオも姉と同じ夢を持ちながらかなわず、一度は闇落ちしますが、それを克服し再び立ち上がります。

立ち上がった彼が「いにしえのプリキュアであるルミエルの力を借り受けた姿」として変身するのです。

https://www.toei-anim.co.jp/tv/precure_alamode/character/chara11.php

公式にキュア名はつけられませんでしたが、ファンの間で呼ばれていた『キュアワッフル』という呼称は公式にも認識されており、設定ラフに「プリキュアっぽい感じ(キュアワッフル)を入れてもらってもかまいません」と記載されていたと言います。

男性でありながら、プリキュアと同等の力を得てプリキュアと共闘したキャラクターは彼が初めてでした。

HUGっと!プリキュア

https://www.toei-anim.co.jp/tv/hugtto_precure/character/people.php

2018年度、13代目プリキュア『HUGっと!プリキュア』。

今作に登場する若宮アンリはジュニアフィギュアスケーターとして活躍する男子です。

自分の美しさに自信を持っており、気に入れば女性ものでも構わず身に着けるため、周囲からは「女装男子」と言われたりしていますが、本人はジェンダーの枠組み自体に囚われたくないという葛藤のあるキャラクターでした。

初登場回からほまれがキュアエトワールであることを見抜き「ボクもやってみようかな?プリキュア」と冗談めかして言ってみたり、悩みに付け込まれ敵側に勧誘されたりと、存在感のある少年。

女児向けアニメなので直接的な表現はありませんが、のちに愛崎えみるの兄愛崎正人と親密な関係になります。

えみるとルールーも同性でありながら親密な関係になるので、ハグプリは同性愛的描写にも挑んだ作品とみることもできます。

その反面、ほまれがハリーに片恋、失恋する様もしっかり描き、プリキュアに珍しく恋愛面の描写(それも予定調和の両思いではない)が多かったのも印象的でした。

第41~42話。

隠し続けてきた足の古傷が悪化。最後の大会に向かう途中交通事故にも巻き込まれ、完全に足が動かなくなってしまうアンリ。

絶望に染まり、彼を思うファンの気持ちに胸を痛め、一度は敵に取り込まれますが、

キュアエールたちの問いかけに自分の希望の原点「自分のスケートでみんなが笑顔になるのが嬉しかった」ということを思い出し、敵の力を振りほどいてキュアエールのミライブレスの力でキュアアンフィニに変身!

変身の効果か足が動くようになり、自分を待ち望んでくれたファンの前で最高の演技を披露し、敵を弱体化。

しかし、戦闘終了と共に変身は解け、足も再び動かなくなります。

現実は塗り替えられない。しかし、ひと時でも美しく踊ったキュアアンフィニの存在はプリキュアの歴史に、そして見る人の心に刻まれたのでした。

ハグプリは最終決戦で地球上の全ての人が老若男女問わず全員プリキュアになる描写もあります。

今作のキャッチフレーズだった「なんでもできる、なんでもなれる」は年齢性別問わず、すべての人に捧げられたエールであったことがこの「全人類プリキュア化」現象に込められているのでしょう。

デリシャスパーティ♡プリキュア

https://www.toei-anim.co.jp/tv/delicious-party_precure/

2022年代、17代目プリキュア『デリシャスパーティ♡プリキュア』。

異世界クッキングダムにはクックファイターと呼ばれる戦士職があります。

プリキュアのように浄化技は使えないものの、デリシャストーンを使って戦闘能力を得るクックファイター。

その多くが男性です。

主人公の和美ゆいたちにプリキュアになるきっかけを与え、サポート役として立ち回るのもクックファイターのローズマリー

そして、プリキュアたちと目的が同じらしい謎のクックファイター・ブラックペッパー

プリキュアと能力の差は有れど、共に戦うメインキャラに男性が二人も登場したのです。

特にブラックペッパーの立ち位置は、セーラームーンのタキシード仮面を彷彿とさせるものがあると当初指摘されていました。

ちなみに、ローズマリーは肉体は男性であるもののオネエ言葉のオネエキャラ

片やブラックペッパーは、実は正体がゆいの幼なじみ・品田拓海です。

結局ゆいには気づかれずじまいでしたが、拓海はゆいに好意を寄せており、プリキュアシリーズにはレアな異性恋愛の側面がありました。

ひろがるスカイ!プリキュア

そして、2023年代、18代目プリキュア『ひろがるスカイ!プリキュア』にてようやく、満を持しての男子プリキュア登場です!

2023年2月3日現在、まだキュアウィングという名前と12歳という年齢、キャラクタービジュアルしか公開されていませんが、オレンジがメインカラーのかわいい系美少年ですね。

彼がどのような流れでプリキュアになり、どんな活躍を見せてくれるのか、今から楽しみです!

「せっかく男プリキュア出すのに、結局中世的な見た目で、ショートヘアパンツスタイルかよ」などの声も聞こえますが、

これだけ長年かけて段階を踏んできたプリキュアのことです。

これからさらに段階を踏んでいく腹積もりでしょう。

そもそもハグプリで一度全人類プリキュア化しているので、焦って見た目にこだわる必要もないのではないかと個人的には思います。

全人類プリキュア化、かなりインパクトありましたし、そこでジェンダー的な枠組みを一度粉砕してくれましたからね…

まとめ

男子プリキュア登場まで様々な変遷がありましたが、ようやく形となり、ファンとしてはうれしい限りです。

最初は動揺や反感もあるかもしれませんが、新しい風穴を開け、様々な意見が交わされること自体に意味があります。

今後のプリキュアの可能性を、応援しています。

過去のプリキュアシリーズは、「dアニメストア」「DMM TV」でまとめてイッキ見視聴することが可能です!

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